基本情報
著者：夢ノ内千春
出版：エムディエヌコーポレーション
発売：2022/10/28
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レベル：中級者向け
傾向：感覚・・〇・・理屈
＜この本でわかること＞
✓ミニキャラの描き方
✓低頭身でのポーズ
✓仕事やグッズ化の方法
これまで1,000体以上描いた、ミニキャラの職人技
人気イラストレーター、夢ノ内千春さんによるミニキャラの描き方に関する教本です。執筆時点ですでに千体を超えるミニキャライラストを描いているという、生粋のプロです。ミニキャラとは、等身が低くてデフォルメがちまっとしている可愛らしいデザインの人物を指します。ミニキャラは概ね2〜3頭身ほどになり、頭が大きいことが特徴ですが、単に顔をでかくすればよいのではなく、細かな調整が必要です。
この細部への調整はいわば職人技のような世界で、様々なパーツのデザインをキャラクターにあったテイストで描いていかなくてはなりません。著者の夢ノ内さんはこの技術に長けており、ミニキャラでは若手のトップクリエイターといって良いでしょう。制作数も凄まじく、その中で磨かれた確かな技術が本書で紹介されています。
デザインのパターンを理解する
この本の面白いのは、デフォルメにも実に様々なパターンがあることです。例えばボディひとつとっても、大きく分けてAライン型（△のような形）とボディボックス型（□のような形）があります。そこに付随する手足も先端が細いタイプや丸いタイプ、シャープなタイプなど、組み合わせによって見た目に差が生まれます。
このような発見ができるだけで、目からウロコが落ちる内容ですが、これがとにかく詳しいし、量が多い！自分の目的とするイメージに合うものをカタログ的に探すこともできます。上記のサンプルにもありますが、平面的に描くことなど、タッチを組み合わせるとさらにバリエーションも増えるのです。
かなり”ガチ”なデザインプロセス
さらにありがたいことに、頭身の高いキャラクターをミニキャラにする方法もかなり詳しく解説してくれています。趣味の二次創作でも使えるし、自分でオリジナルキャラクターを描きたい時にもこういった概念を押さえておくことは重要です。
ちなみにこのブログを書いている私もゲーム会社でデフォルメのデザインを担当していた時期があります。それ故にデフォルメの難しさは延々と語ることができますが……この本の内容は「ガチ」だと太鼓判を押せます。むしろ現場で仕事をしていたプロのイラストレーターこそ評価をしてくれると思います。私も会社員時代にこの本に出会いたかった。
人体以外にもアイテムの省略化もすごく難しいのです。そのまま描くと部分的に妙に細かくなったり、全体的な親和性が損なわれたりします。こういった描き方のコツをパーツごとに丁寧に解説してくれています。帽子などは特に難しい部分で、形態や角度によってもイラストへの落とし込みが悩ましくなりがちです。平面的に描けば良いわけではないので、モチーフの「らしさ」を残しつつ、可愛く仕上げていく方法を解説しています。
ポーズも自由自在
もちろんミニキャラのポーズも描き方の基本から、すぐに使える素体ポーズ集まで多数のバリエーションがあります。特に描き慣れていない方は、まずは素体から自分が好きなキャラクターにイラストを起こしていくのが良いと思います。そこでデザインの勘所を見つけつつ、2-3体描いたらゼロから練習してみましょう。
素体だけをクロッキー的に何枚も描いても面白いと思います。写真や既存イラストのポーズをそのままに、デフォルメしていくなど、イラストやデザインの面白さも発見できそうです。
また、チャレンジしたい方が多そうなグッズ化についての解説もあります。アクリルキーホルダーや缶バッジなど、ミニキャラは身につけるアイテムとしても活躍します。ラバーストラップも良いですね！今はpixivFACTORYなどでオンラインからも簡単にグッズが作れるので、本書の内容を活かすシーンは沢山ありそうです。書籍の中ではAdobe Illustratorでのデータ作成方法、カットライン（カットパス）の作り方などを紹介しています。
キャリア、商業仕事、素体データなど、充実した内容
本書はコラムとして夢ノ内さんのこれまでのキャリアや制作環境についても紹介しています。元々は教育系の学校出身で、ゲーム会社に就職したそうです。同期は美大出身のイラストレーターが多い中でご自身の技術を磨き、成長していき、現在はフリーランスとして活躍しています。
後半では、夢ノ内さんの作業環境や商業仕事の受注や進め方なども紹介されています。このあたりは直接作画技術には関わりませんが、プロを目指す方にとっては参考になると思います。特に就職を目指す場合、業界への知識の量がかなり重要になるので。
このブログの途中で紹介した、ミニキャラの素体については本書にあるurlからダウンロードすることができます。全部で60体以上と、なかなかのボリュームなので表情と組み合わせればかなり網羅的に使えると思います。ぜひこちらも試してみてください。単純にめちゃくちゃ勉強になります！
少しでも興味があればぜひチェックしてみてください。
