光と色のチュートリアル by パク・リノ

人体

基本情報

著者:パク・リノ (著), 金智恵 (翻訳)
出版:マール社
発売:2021/12/7
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レベル:中級者向け
傾向:感覚・・・〇・理屈

<この本でわかること>
✓物理的な光と色の関係
✓基本的なライティングの考え方
✓デジタルイラストにおける着彩

冒頭から可視光、電磁波、粒子……これはイラストの本なのか?

誇張抜きでこの本は歴史的な一冊になったと思います。2021年以降にライティング表現のレベルが上がったのは本書の貢献が大きいかもしれません。自分は冗談抜きで全ページをノート書きして、模写をしました。内容は初心者には難しいですが、類書では一番わかりやすいし、人物を基本にしているのでモチベーションも保ちやすいです。特にキャラ絵を描きたい中級者以上はマストバイです。

近年のキャラクターのデジタル塗りは高度化しており、デフォルメではあるものの実際のライティングや現象を参照している例が多いのです。3Dがわかりやすいですが、レンダリング(書き出し)の過程においては、いかに現実の環境を再現するかで美しさや見栄えが変わります。2015年頃からのイラストカルチャーではライティングに対する研究は、美少女イラストの文脈でも進み、絵画的な表現やノウハウが取り入れられました。

引用:光と色のチュートリアル(Amazon)

そういった流れの中で、特に難しいのは「光の持つ物理的な作用」を理解することです。逆光や反射光を作業的に入れることはできますが、実際にどういう仕組みでそれらの表現になるかがわかることで、絵の深みは大きく変わります。

著者のパク・リノさんは、韓国のイラストレーターで、キャラクターデザインも高く評価されています。

お、おしゃれすぎる〜〜〜!

今の韓国イラストレーターの代表といっても良いでしょう。これまでも様々な教本をリリースしています。その中でも4冊目となる本書は色塗りにおける決定的な内容となっています。色という概念はそもそも光なしでは成立しないので、冒頭から科学的な視点が盛り込まれているのです。

「光は文法、色は言葉」として、光学を理解していくことが美しい色を雄弁に表現することが重要であると解きます。それから原子の持つエネルギーの話になり、電磁波の可視光の話になるのです。これってめちゃくちゃ面白くないですか?絵の話なのに、かなりガッツリ粒子や波動の話からはじまるのです。私は科学の読み物として、楽しく読みました。そしてこれを覚えることで、作画のパートの理解力が大きく上がるのです。

引用:光と色のチュートリアル(Amazon)

質感表現もすべて「反射」で説明できる

近年のイラストでとても重要な要素となってきているのが「質感のディテール」です。顕著なのが、肌の塗りですが、布地による差異や、金属の光沢、背景などあらゆる場面で個別の質感は存在します。この質感を決めているのも光による反射です。

引用:光と色のチュートリアル(Amazon)

この反射はあらゆる場面で発生し、物体により反射の仕方は変わります。それ故に「金属っぽい」「布っぽい」という見え方が出てくるのです。本書はそんな反射について、かなり深い知識の提供と、実践的なアプローチを紹介しています。

中でもイラストに取り入れられるSSS(サブサーフェススキャッタリング)の概念はこの本で覚えたという人も多いと思います。SSSと言っても、初見は「なんじゃそら」となると思いますが、要するに半透明の物質に光が当たったときの現象を指します。半透明と聞いて、対象となるモチーフのイメージが湧かないかもしれませんが、人間の皮膚は典型的な半透明の物質です。

参照:サブサーフェス・スキャタリング(Wikipedia)

手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮(ちしお)

やなせたかしの『手のひらを太陽に 』は、日本では有名ですが、まさにこれです!特にキャラクターを生き生きと表現をしたい方はこの半透明の概念を理解することは重要で、本書はそれにクリティカルに応えてくれています。

照明の証明

光については自然光はもちろん、人工的なライトなど、光源についての違いも解説してあります。この辺は自然に身につく物ではなく、教科書的に習熟していく方が理解が早いと思います。光源は位置、サイズ、大きさ、数、強さなどによって同じモチーフでも見え方が大きく変わります。このような基本的な概念を身につけるのに本書はおおいに役に立つはずです。

引用:光と色のチュートリアル(Amazon)

私の経験でいうと、ライティングの学習は、こういった教科書を読みつつ、写真を模写していくことがおすすめです。この本を読んでいたときに、以下のような模写をしていました。ライティングの勉強には、写真からそのまま色を持ってくることも参考になります。自分の感覚を矯正していくために、観察しながら、色はスポイトする方法で練習をしていました。

ブログの筆者による写真模写
ブログの筆者による写真模写

ライティング表現のバイブル

本書は私がこれまで購入した本の中では、最も学習時間を費やしたものになります。すべてのページの要約をノートにまとめ、模写をしたり、自分なりに再現性を探っていました。どの項目も作画の血肉になっています。当時の練習で描いたものを少しだけ上げておきます。これ以上ないほどわかりやすく、ライティングについて教えてくれたパク・リノ先生には感謝しかありません。


ブログの筆者による習作
ブログの筆者による習作

ご自身がある程度、イラスト制作に慣れており、ライティングに興味があるなら本書は必読といって良いでしょう。基礎的な内容も多いので、上級者(ガチプロ)は既知の内容も多いかもしれません。ライティングの本は他にもありますが、キャラクターイラストへの応用という点が特に優れています。パク・リノさんのイラストも素晴らしいので、是非お手に取ってみてください。

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