基本情報
著者:くるみつ
出版:ホビージャパン
発売: 2021/9/30
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レベル:中級者向け
傾向:感覚・・〇・・理屈
<この本でわかること>
✓ポーズ、シルエットの作り方
✓色の選び方
✓キャラクターデザインのコツ
カラフルでポップなキャラクターデザインがわかる!
くるみつさんといえば、カラフルなキャラクターデザインが特徴の人気イラストレーターです。本書はデザインに焦点を当てているので、画集としても作品を多く載せています。くるみつさんのスタイルは、キャラクターを全身で配置し、ビビットな色です。こういったスタイルを目指している人にとって、本書は重要な情報が大量に詰まっています。

書籍の最後のインタビューに掲載されてますが、ゲーム会社時代にさいとうなおきさんと机を並べていたこともあり、その影響も語っています。ゲーム会社のキャリアがあるので、特にそういった業界を志している方にとっては福音となる本にもなっています。
絵が上手くなる技術と、商業で使える技術は少し違うと私は考えてます。例えば、業務の現場では実装画面での見え方やデータの作り方などが求められます。単純に画力を上げる、というモチベーション以外の観点が必要になります。本書では商業的な利活用に強い言及はありませんが、相当に「使える」イラストを再現できるノウハウがあり、当然ですがこの考えは様々な分野のイラストでも役に立ちます。

キャラクターデザインとはシルエットを考えることである
本書に限らず、イラストにおいてはシルエット・輪郭を考えることの重要性が説かれています。この本の良いところは作例が豊富で、参考にすべきハイレベルなイラストを沢山見ることができる点です。また、それらのシルエットの作り方の手順を確認することができます。慣れていない内はとにかく真似をする事と、量を描くことが大切になるのでとにかく反復して自分の中に”型”を作っていくのです。

こういった考え方が身についてくると、他人の作品も分析的に見ることができ、ポーズやモチーフに絵の目的を読むことができます。例えば以下の作品だと、左のキャラクターは傘を持たせることで、正面ポーズから変化を付けています。あえて左右非対称にして動きを大きくしています。右のイラストの場合はやや俯瞰構図でトレーを持たせており、ダイナミックな印象です。メイド、お菓子、ネコミミといったモチーフや色でも統一感を出し、テーマ性も強調しています。

以上はあくまで私の解釈ですが、こういった絵に対するリテラシーを高める上での考え方を身につけることができるのです。分析ができるとその要素を自分の作品にも取り入れることができます。見て、考えて、描いて、上達していくのです。
配色はシンプルに、まずは絞って考える
イラストを描くときに「色が苦手」という方もいると思います。色の選びは、作者のイメージや個性が元になっている部分が大きいと私は考えてます。プロのクリエイターでも得意な色の集合(赤系、青系など)、彩度や明暗の幅があります。
くるみつさんの場合は再度が高く、キャラクターデザインをよりポップに映えさせて魅せていく方向に尖らせているように思います。これは擬人化などととても相性が良く、デザイン力が両立しなければ成り立たない、高度な技術です。主線が太いのも特徴ですね。色の精度が低いと野暮ったい雰囲気になってしまいますが、ここを外していない。書籍でも述べてますが、主線に色トレス(部分的に色を変える、馴染ませる)ことで、さらに絵としての意味を強めています。

重要のものとして、”色を絞る”という考え方があります。「メインカラー(ベースカラー)」「サブカラー(アクセントカラー)」などの言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。着色はアドリブで適当に色を塗るのではなく、事前にある程度使う色を決めておくことが大切です。本書では具体例を元にこの概念を説明しています。このあたりの説明がめちゃくちゃわかりやすい。

何度も書きますが、作例がとても良いのです。配色のバランスがカラーチャートで示されていますが、「どういった意図でこうなったか」の思考の過程を見ることができるのも本書の特徴です。
誰でも悩みながら絵を描く
本書の冒頭にはくるみつさんの「悩み」の過程を掲載している、という言及があります。作品数もとても多いし、どれも安定しているように見える人でも、悩み、もがきながら絵を描いていることは意外に思われるかもしれません。でも、涼しい顔で「ね。簡単でしょ?」と言われるよりも、こういったことを吐露してもらえる方が安心する点もあると思います。
どんなイラストも楽々と簡単に描けることはないと私は考えてます。絵を描くと、簡単に見えそうなものでも凄まじい思考の過程が必要になるのは経験者知っていると思います。そういった共感をもって描かれた本書は特にキャラクターデザインに行き詰まった学習者への大きな励ましになるでしょう。

ちなみにくるみつさんはYouTubeチャンネルを運営しており、ご本人により書籍解説も動画であります。こちらもぜひ参考にしてみてください。他にもイラストメイキングや業界の裏話もあり、多くの方が興味を持つ内容になっています。
要チェック!



