10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング by 砂糖ふくろう

人体

基本情報

著者:砂糖ふくろう
出版:ボーンデジタル
発売:‎ 2022/9/25
Amazonリンク

レベル:初心者向け
傾向:感覚〇・・・・理屈

<この本でわかること>
✓ジェスチャードローイングのやり方
✓人体のとらえ方
✓練習の継続方法

初心者に超おすすめ!劇的に人体が改善する。

砂糖ふくろうさんによるジェスチャードローイング(以下、ジェスドロ)の解説書です。人体の練習は模写や美術解剖学など色々な勉強方法がありますが、特に初心者の方におすすめなのが短時間で描くクロッキーです。本書はその中でもジェスドロに絞ったアプローチをとっています。本書は気軽にはじめられるジェスドロについて丁寧に説明しているので、絵を描く時間がなかなかとれないという方も、はじめてみるのにうってつけです。タイトルにもあるとおり、10パーセントの力(=本文の言葉では「トイレでカレンダーに落書きするくらいの力」)で人体を描く苦手意識が大きく克服されます。

引用:10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング(Amazon)

「そもそもジェスドロってなに?」と思う人もいると思うのですが、30〜180秒で素早く人体を描く事を指します。クロッキーとやや異なるのは、ジェスドロはいくつかのルールや練習のコツが存在することです。クロッキーを体系立てて学問としてまとめたのがジェスドロだと私は考えています。

こちらはご本人による実践動画。さすがに上手いです!

実際に私も2020年にジェスドロに出会い、練習をしてきましたが、1ヶ月で劇的に人体に関する理解力が上がりました。この理解力というのは言語的なものではなく、感覚的なものです。なによりも手が動くようになるのが嬉しいです。

私が練習した時のもの。4ヶ月で人体に関する理解力が大きく上がった。

苦手意識を大きく下げてくれる

この練習方法の良いところはなんと言っても時間が短い所です。私は60秒くらいが丁度良いと思ってますが、長くても5分くらいで人体を描くのです。「え、60秒はもちろん5分でも人体描くなんて無理なんだけど!」という方もいるかもしれません。大丈夫です。最初は線1本からはじめます。とても低いハードルからスタートしていき、少しずつ人の形を自分の中に取り込んでいくイメージです

引用:10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング(Amazon)

ジェスドロではむしろ長い時間をかけて絵を描くことを推奨しません。60秒という短い時間の中で制約を作り、短いのサイクルを繰り返していきます。まさにPDCAの改善です。この改善がとても早いので、短時間でどんどん上達していくのです。60秒のドローイングに慣れてくると、5分で人体を描く事がめちゃくちゃ長く感じます。

ただし、最初の1〜2週間はそれなりに苦労はするかもしれません。特に初心者のうちは、観察して線を引く事自体に慣れていないので、新しい神経回路を作る必要があるからです。これは最初は疲れる練習になるでしょう。それでも模写など他の練習に比べるとかなりです。なにせすぐに終わるので、ちょっとやってみるかな〜という感覚でチャレンジできます。

そして練習を続けると得意なポーズや苦手なポーズ、またはアングルが出てくると思います。しかしどんに上手く描けようが描けなかろうが、60秒でおしまいです。サクサクと進みます。そうやっている中でいつの間にか苦手意識は消えていきます。ある程度練習が進むと、難しそうなポーズでも無の心で淡々と描いていけるようになります。

モデル動画を見てトライ!

ジェスドロは基本的にモデルを見ながら描きます。初心者のうちはヌードの方が練習しやすいです。でも実際にモデルのクロッキー会に参加するのはハードル高いですよね。参加料金もかかるので、個人的にはある程度の練習を重ねてから参加する方が良いと思ってます。

今はYouTube上に無料で人体のポーズを公開している動画が沢山あります。画集やポーズ画像も公開されており、現代ではモデルには事欠きません。中世の画家などは高いお金を払ってモデルを雇っていましたが、本当に良い時代です。ちなみに砂糖さんは「できるだけ写真ではなく、ポーズをとる過程を含めて動画で収録されているものを参考に描くのがオススメ」と言っています。静止画像だと、人間の生きている雰囲気やイメージが弱くなってしまうことが理由です。詳しくは是非書籍を読んで欲しいのですが、このイメージを動的ににとらえるという概念がとても重要なのです。

もちろん、生の人体を見て描くクロッキー会もとても勉強になります。機会があれば是非参加してみるのもよいでしょう。

絵描きへの寄り添いが素晴らしい

私自身は砂糖さんと直接コミュニケーションしながら、ジェスチャードローイングについて勉強したこともあります。すでに商業である程度仕事をしてきた自分ですが、本当に勉強になることばかりで、未だに多くのことの役に立っています。

「上手く描こうとしなくてOK」
「焦らなくても、その内上達するから」

引用:10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング(Amazon)

そんな風にイージーにリラックスして描き進められるような言葉が沢山本書には散りばめられてます。これは著者の砂糖さん自信が、かつては練習に取り組んで心を折った経験があるからです。この本は単なるノウハウの伝達ではなく、絵を描く人に寄り添って応援するような、そんなメッセージが詰まったあたたかい作品にもなっています。