池袋 | LAM個展「千客万雷」レポート

展示・イベント

基本情報

LAM展『千客万雷』
入場料:前売1,000円(公式サイトを要確認)
主催:株式会社ムービック

開催日:2024年11月1日(金)〜 2024年12月2日(月)
開催時間:月~金 11:00~21:00 ※曜日によって変更
開催場所:東京都豊島区東池袋1-20-7 アニメイト池袋本店8F

600平米+イベントフロア、イラスト史上最大規模の個展

イラストレーターLAMさんの個展『千客万雷』が池袋アニメイトで開催されました。私もご縁あって、レセプションから参加させていたきましたが、ヤバイヤバイの連発でした!間違いなく今後のイラストレーター個展の大きなマイルストーンになった重要な個展だと思ってます

池袋アニメイト本店、写真ではわかりにくいけど入り口には車がある

場所は池袋のアニメイト本店。8Fのイベントスペースは600平米という広大なフロアで、LAM個展はその全面で開催しています。若手のイラスト個展だと、小規模なものは10〜40平米、大規模なものでも150〜200平米程度なので、今回がいかに巨大かがわかります。

さらに入り口には特別仕様の車や、サイネージでの映像展示もあり、建物全体で個展を盛り上げています。少年ジャンプの有名漫画家でもここまでの規模の企画はなかなかないと思うので、想像以上のクオリティに驚くばかりでした。

エントランスにはプロモーションムービーが流れている

12のエリアをコンセプトごとに設計

とにかく本個展はでかい。なんと展示エリアが12個もあります。普通はここまで区切ることは難しいのですが、各エリアでは作品がこれでもかというくらいに敷き詰められています。

作品数は100点や200点どころではなく、会場のサイズに物量もクオリティも全く負けていません。後半からはオリジナルが増えますが、LAMさんの個性がより反映されているようで、展示のカタルシスも上がっていきます。

この導線設計が素晴らしく、会場企画ならではのフィジカルに訴求しています。やはり個展は総合芸術で、体験をどういうストーリーで描いていくかを考えるかが重要だと思いました。造作とイラストのバランスが絶妙で、等身大フィギュアの展示もあります。

等身大フィギュア

引き出しの数と表現の次元

ゲームのUIを意識したということ、側面から見ると……?

新規オリジナルのエリアはここで初出のものもあり、見応えが凄まじいです。とにかくやりたいことをやっている感じでぶちまかしている。妥協なく、容赦なく、それでいてちゃんとエンターテインメントしており、風格を感じます。

ブログ著者一番のお気に入り作品

そして私が特に好きな絵はこちら。地の赤色と着物の影の色のバランスが絶妙です。是非とも現物を見てほしいのですが、塗りの細かい部分が光沢になっていることと、金と黒の描画が相まっています。塗りは最近特に素敵だな〜と思ってます。

特徴でもある、顔やデザインを評価される方だと思いますが、この絵柄と半厚塗りを同居させているのはなかなかに見事だと思います。今回の描き下ろしは特に色のトーンに気を遣われてて、沢山描いているのに全然妥協しておらず、むしろ、120%、150%と限界まで出力を上げているようなチャレンジを感じます。

鳩目をそのまま残した展示物。クリアで2層になっており、奥行きのある質感

スタイルが確立した作家はある程度のキャリアになると、自分への期待値がわかるので良くも悪くも商業的なクオリティを設定します。その方が効率良く絵を描けるし、事故も減るからです。それも今回の個展は、しっかりとアートに向き合って、表現を研究し、または深掘りしていきながら新しい次元に登っていくようなシリアスさを感じました。

絵柄の変遷と表現の開拓

キービジュアルでも描かれているように、最近は涙丘るいきゅう(眼球の目頭に近い部分)をしっかりと描くスタイルになっています。グラフィカルな要素と、アカデミックな立体感、そしてサブカル性、そのないまぜのクリエイティブが今回は大きく垣間見えます。ありがたいことに、ご本人から直接の解説を頂きました!

グッズエリアの前の巨大壁面印刷

新規作品のエリアは解剖学を踏襲した様な作品もあります。絶妙なサブカル具合が素晴らしいです。印刷の紙も良いですね。学生時代から研究していたテーマを制作したということでした。

文字は和紙に手書きしているよう

こちらのドールは眼球にLEDが仕込まれており、うっすらの光っています。傘もありものではなく、この作品のために造作されたそうです。

オリジナルデザインのドール。爪まで可愛い

立体物が多いのでは嬉しいですね。こういった作品を拝見できるのも、個展の大きな醍醐味です。空間設計もコンセプトを作っており、全体で一つの調和がとれています。

対になるフィギュア

ご本人も在廊、ファンサが神

会期中はLAMさんご本人も在廊し、ライブドローイングを行っています。他にもサイン会、トークショーなども開催するとのことなので、何度も遊びに行っても面白いかと思います。ご本人はとても気さくな方なので、タイミングを見て是非感想などを伝るととても喜ぶと思います!

最近の個展は特に在廊される作家さんは増えていると思います。LAMさんクラスの作家は凄まじくご多忙のスケジュールでやりくりしているので、本当に貴重な機会です。今後も個展を開催する機会はあるかと思いますが、同じくらい在廊してくれるかわからないので、そういった意味でも足を運べるからは是非行ってみるとよいでしょう。

画集もPIEから発売中、特装版もあるよ!

10月には画集『いかづち』も発売されました。個展作品も多く、図録としても楽しめます。会場では特装版も購入できます。そして会場でのグッズは50点を超える充実っぷりでした……!ここでしか手には入れない立体フィギュアなどもあるので、是非ゲットしてみてください。

池袋での個展は12月2日(月)まで。来年1月からは大阪での巡回展も予定しています。この機会に是非足を運んでみてください!!!

著:LAM
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