「#いらすとやチャレンジ」はなぜここまで流行したのか?人気キャラもまとめてみた

コラム

意外となかった「いらすとや」をキャラ化する流れ

X(旧Twitter)で「#いらすとやチャレンジ」が流行ってます。元々ははまふぐさんのポストを起点しており、その後にハッシュタグとして定着しました。今回はなぜ、ここまでこのミームが流行したのかを考えていきます。

登場から1週間ほどですが、多くの絵描きがハッシュタグでポストをしており、一気にトレンドになりました。ここ数年のイラスト祭の中で見ても、かなり投稿数が多いと思います。似たようなトレンドに「ブラジリアンミク」や「セーラームーンチャレンジ」などがありますが、それらの上を行く投稿数のように思ってます。

これまで、「既存作品をいらすとや風に描く」流れはありましたが、逆は少なかったように思います。私自身も過去にいらすとや風イラストにハマっていた時期もあり、今回の祭はとても楽しく拝見しています。

絵描きの力量を試したくなるモチーフ

流行になった理由としては絵描きとしてのチャレンジ要素が大きいことです。見るのも楽しいですが、描き手のニーズがとても大きいお題です。いらすとやの絵はどれもシンプルで、要素が少ないので、自分の絵柄で描くときには必然的に高い出力(=大喜利力)が期待されます。

かつてのイラスト個人サイト時代には、「絵描きさんに100のお題」というチャレンジ企画が流行りましたが、あれのすごいバージョンだと私は考えています。いらすとやには数万点の作品(差分込み)があるので、ネタには事欠きません

絵の練習としてこれほど素晴らしいチャレンジはなかなかないですね。

「絵描きさんに100のお題」はテキストのみですが、いらすとやには「タイトル」と「イラスト」があります。どちらも重要な要素であり、双方が補完し合って作品としての完成度を高めています。

二次創作的な解釈の余地が大きい

いらすとやはみふねたかしさんの作品なので、「#いらすとやチャレンジ」はある意味で二次創作的な側面を持っています。いらすとやにはいくつか有名な作品があり、多くのユーザーはいらすとやについて、一定のブランド的な認知を持っています。

宗教の二世のイラスト
VRゲーム中に怪我をした人のイラスト
ラーメンの油をまとめる人のイラスト
オフ会のイラスト

めっちゃ描きたくなりますね?

特に「#いらすとやチャレンジ」を見た後だと、自分ならどういう解釈で取り組むか妄想の余地があってわくわくします。この楽しさや体験の予期こそが良いネット祭だといえるでしょう。

そもそもが汎用的な使われ方を想定しているので、上記のようなネタ要素が強くないものの方が、むしろチャレンジとして補完しやすいです。

そもそも「いらすとや」の目の付け所が秀逸である

いらすとやはよくある状況はもちろん、ありそうでなかったシチュエーションなどにも、いらすとやのアイデアを使うことができます。文脈の補完が非常に上手い。何千、何万枚も人の手でイラストを描いており、もはや芸術の境地です。

絵を描く時の題材選びに苦労することはありますが、そういったイメージの思索の補完としても、いらすとやはかなり便利に使えることが今回の祭でわかったと思います。

そしていらすとやはライセンス的にも使いやすいです。メディアの掲載数に対しての使用制限はありますが、この祭においては問題ないといえるでしょう。

書籍・チラシ・パンフレット・ウェブ・テレビ・パッケージ・電子書籍・動画・ソフトウェア・パワーポイントでのプレゼン・卒業アルバム・名刺など、媒体を問わず1つの制作物につき20点(重複はまとめて1点)まで商用利用をすることができます。

引用:よくある質問

商用含めて使用可能な素材としてヒットしたコンテンツなので、スケールしやすいアイデアにもなっています。

私も記事のサムネイル用に描いてみましたが、デザインが絶妙なんですよね。シンプルが故に狙ったポイントがちゃんとイメージに反映されているというか、実によくできてます。

ちなみにこの中二病の女の子イラストは、手のマークが六芒星ということもあり、ご時世がらモチーフを変更しているファンアートも多いですね。六芒星自体は汎用的なデザインですが、ユダヤ教の「ダビデの星」を想起させることもあります。

みふねたかしさんの画力がすごい

いらすとや作者である、みふねさんの画力の凄まじさも重要です。有名なのは以下の作品ですが、水のゆらぎや色のトーン、ライティングなどどれをとっても強者のそれですね。

水の中で眠る会社員たちのイラスト

「#いらすとやチャレンジ」には、ある意味でみふねさんの胸を借りるようなスピリッツがあるかもしれません。セーラームーンの時もそうですが、「チャレンジ」という言葉は良いですね。先人を称えつつ、そこに挑戦するような気概を感じます。

「#いらすとやチャレンジ」で人気のキャラクター

最後によく描かれている人気キャラクターをあげつつ、記事を締めます。

ギャル男

「平成チャラ男」などとも呼ばれる。そもそも初期平成デザインがブームになっていたのもあり、良い具合のレトロさシンプルなデザインにある。

インテリヤクザ

元ネタの作品名がもう攻めている。眼鏡のスーツの男性(≒サラリーマン)ではなく、あえて反社っぽいニュアンスを入れているところに、みふねさんのロック魂が溢れる作品です。

ツンデレのイラスト(男の子)

これ元ネタ探すのに苦労しました。「花束」「プレゼント」とかではヒットしない。ツンデレでこのシチュエーションなのも少しズレがある感じもしますが、それ含めて可愛いです。

中二病のイラスト(女性)

みんな大好き厨二病の女の子。シンプルですが、細部のこだわりがあり秀逸です。

素敵な作品を見せてくれた、多くの絵描き様とみふねたかし様に大感謝です!

監修:いらすとや, 著:山口 真央
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著:荒井悠介
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編集:レッカ社
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